叱られ方研修を忖度研修にしないでね
記事のまとめ
最近の就活セミナーや入社セミナーの中に叱られ方研修というものがある。
叱られ方(指導の受け方)だけではなく、叱り方(指導の方法)にも注目すべき。
良い叱られ方は精神的余裕がないと出来ない
全文表示 | 「好ましい叱られ方」って何? 叱られ慣れない新人が受ける「研修」 : J-CASTニュース
新卒向けに『叱られ方研修』なるものが開催されている…『イマドキの新卒が早期離職するのを防ぐ』のが目的→様々な意見が集う - Togetter
先日たまたまWBSを見ていて、叱られ方研修なるものが存在することをしりました。
厳しい環境に耐えられず退職してしまうといった新卒採用後の離職を防ぐ対策として取り組まれているようです。
番組内であった例を2つ挙げますと、怒鳴りつけられたことに対して下記のような解釈が必要になるとのことです。
①「いつまでチンタラ仕事をやってるんだ!!!」と怒鳴りつけられる。
=「仕事のやり方を変える必要がある」と理解すること。
②「突然話しかけてくるんじゃねぇよ!!」と怒鳴られる。
=「今は忙しいから別の時間に」と理解すること。
最初は叱られ方に良い悪いなんてないだろうと思いながら見ていましたが、最後まで見て「厳しい言葉を向けられた時に精神を落ち着かせる」為の研修のように見えました。
それは、怒鳴りつけられたショックで頭を一杯にせずに「何故怒鳴りつけられたのか相手の背景を考えよう」ということです。
大雑把な正確が災いして仕事のミスが多い自分ですが、ミスや指導の衝撃を引きずってしまい行動の改善に繋げるのが下手だと自覚しています。
本来なら改善策を徹底的に考えて徹底的に実行すべきところなのですが、それには精神的な余裕(タフさ)が必要なのです。
その為に、叱られ方(指導の受け方)研修で怒鳴りつけれたことへのショックを軽減させる訓練をするのは有りだと思います。
結論、良い叱られ方というのは、受け手に精神的な余裕がなければ出来ないことです。
そうでなければ、怒鳴りつけられた言葉なんて頭に入ってきません。
パワハラ忖度とコミュニケーション力の高い人材募集
自分が就活をしていた時、大体の企業の求める人材の要素に「コミュニケーション力の高い人」というものがありました。
これは今の就活においても変わっていないようです。
確かに人と人の集団活動ですから、意見を伝える能力や潜在的なニーズを察する能力という意味でのコミュニケーション力は大事でしょう。
しかし、叱られ方研修が存在することとコミュニケーション力を人材に求めることを絡めて考えてみると危険なことが思い浮かんできます。
それは「こっち(叱る側)は厳しく怒鳴りつけるから、そっち(叱られる側)はコミュ力あるんだから上手く解釈して前向きに働けよ」という環境が出来上がってしまうことです。
コミュニケーションは双方向で成り立つもので、一方通行の言葉であれば押しつけに過ぎません。
なので良い叱られ方を求めるならば、反対に良い叱り方を求める必要もあると思います。
というか、悪い叱り方のせいで受け手に余裕が無くなって良い叱られ方が出来ないことも多いと思います。
部下に良い叱られ方を求めるなら、上司は良い叱り方をする。
部下にコミュニケーション力を求めるなら、上司はコミュニケーション力を発揮して部下と成果を残す。
この取り組みがされないと、叱られ方研修は忖度関係の構築にしかならない気がしてしまうのです。
自分は指導側に立ったことはないけれど
偉そうなことを書いてきましたが、自分は上司や先輩の側に回ったことはありません。
だから、指導する難しさというのは想像することしか出来ません。
でも常に指導される側だからこそ、上司のグチを言い続ける部下ではなく、何故突っ込まれるのかという事情を考える努力をしなければならないと思っています。
何も考えずに「何となく嫌だから嫌」の感情のみで突っ走ってしまうと、相手経験を自分の中に落とし込めないまま無駄な時間を過ごしてしまうだけになってしまうからです。
まあ、落とし込み方が下手くそ過ぎて悩みになってしまっていることもありますが…。
仕事に限らず、人間関係において意見や情報を正しく正確に伝えるor受け取る努力は必須です。
自分も未熟ではありますが、少しずつ上達出来るよう頑張ります。
どうしても合わないなら逃げよう
ちなみに、ブラック企業という環境では上司のストレス発散に指導が使われていると聞きます。
(若干ブラックな企業じゃないと落ち着かないという珍しい人が知り合いにいるので、話を聞くと実に興味深いです)
怒鳴りつける言葉に意味がないと感じたら、それは逃げた方が良いです。
だって部下に逃げられる上司って、上司市場内で需要がないことを自ら証明しているようなものじゃないですか。